人気ブログランキング | 話題のタグを見る
ブログトップ

草島進一の「持続可能な鶴岡」日記

kusajima.exblog.jp

平成21年度予算に対する反対討論。

鶴岡市議会 草島の平成21年度予算に対する反対討論です。メモから書き起こしたモノです。
正式なものは2ヶ月後に議事録がだされませう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
◇上程されております。案件の内、21年度予算にたいし、反対の立場で討論をいたします。

米国で発生した100年に一度の金融危機は、外需に頼った日本の経済を直撃したかたちとなり今、派遣切りなど深刻な雇用の危機、また、貧困、格差社会など多くの問題に直面している状況であります。

当市でも経済、雇用情勢が厳しい中、来年度の税収見込みとして法人市民税など、落ち込みを想定せざるをえず、7億4112万円、4.8%減の146億7千万円を見込んで組み立てた今般の予算編成であります。


● 本市の財政の状況は、実質公債比比率17.4%と、20%を越える新庄市などよりはまだいいですが、しかしながら、イエローカード手前という値であるということであります。また、財政の課題でいえば、当市は、義務的経費が50%を越え、硬直化しており、基本的には、合併來、どの部著も一貫してマイナス5%シーリングが課され続ける中の予算編成であったと思います。
 まさに今般は、富塚市政18年のしめくくりの予算であると思いつつ、審査をしました。結論としては、認めることができない予算編成と行政姿勢であるということであります。

問題点について、具体例を挙げます。

● まず、第一に、慶応大学先端研の問題であります。

合併を前後して特に予算として突出し続けている「富塚市長肝いりの都市戦略として平成13年度からこの9年間、年間約4億円、合併特例債第一号で建設した支援施設など、合計すると50億円以上という巨額な市税投入をおこなってきた先端研関連の成果について、今般改めて、うかがいました。
当局も認めているようですが、この私立大学の研究所への研究費としての年4億もの市税の投入は、14万人の自治体では他ではおこなわれていない(けう_希有なものであります。それだけに、十分な説明責任と、結果責任が必要です。
市長が都市戦略という市が構想する産業クラスター、バイオクラスターの集積について、でありますが、
今般、平成16年度から平成20年度を計画年度とした、地域再生計画に掲げていた1000人の雇用の目標に対し、実績をうかがいましたが、全く応えずじまいで、更に、1000人の目標の達成がいつなのかも、全くがありませんでした。

バイオクラスターを都市戦略にもつ都市では必ず産業クラスターの指数として何社企業、雇用数、売り上げ高があり成果が発表されております。
なぜこうした基本的な実績さえしめされないのでしょうか。

150人の研究者がこの研究所で研究をしているというが、市と県の公費でまるで第二の公務員のような人件費があてがわれている研究者100名と、実質的に企業の中にいる約40名は、区別して実績の報告がなされるべきでありますし、いずれにしても事業開始から9年たっても明確に実績が示されない現状は理解できないのであります。

市長や当局の応えとしては、研究所の所在、活動そのものがもうすでに意味がある。そして、若者の、交流、定着を促進し、本市の価値を高める重要な投資である。と他の地方都市では考えられない、世界レベルの研究所が鶴岡にある。という効果とかといわれておりましたが、土地建物だけではなく、毎年の研究費それも4億もの市民の血税を投入し続けて50億、9年間の成果としては、あいかわらず緊張感も責任感もない答弁に終始しており、私は憤りをもって、この問題を指摘せざるをえません。


◇市長は、この構想の当初、11年9月の市議会の中で与党議員の質問に対して、
「研究費の助成は、一定の補助はするが、枠は40億円だということ。そして、現実には研究センターが発足した時点において、国の省庁からの研究費を相当額確保して数億、数十億の規模で調査は進められる。だから研究費については私どもは何らかかわるところはないと考えている。いずれも国の科研費、あるいは、慶応大学の自主的な財源をもって研究活動をしていてだくことを期待している。」と応えています。つまり、当初はずっと研究費を市税で出し続ける見込みではないことを名言していたのです。
 しかし、実際はこの9年間、第一次の5年間を経過してからも、毎年4億円もの研究費を市税から拠出している実態である。
また、昨年9月議会で明らかにした平成20年度の実際では、研究所全体で11億2千万円の資金でありましたが、市と県が拠出している「山形資金」7億円、当初の基金の運用益1億4千万円の合計8億4千万円は、75%をしめているのであります。そして、国からの研究費は以前は60%を占めていましたが、今20%代に減少していることが明らかになりました。山形資金への依存度が高まってきているのであります。
 更に、この山形資金が、安定的にこの鶴岡で慶応が腰を据えて研究を続けて頂くための条件であるとの発言を担当部長は繰り返しておりますが、これを思うとき、構想当初で市長が議会に示した、「慶応大の自主財源での研究活動だから市としてはなんらかかわることがない。という約束は完全に裏切られている。と同時に、市民は、当初、市長が約束した支援のルールからはみ出し続けているというのに、全く説明も受けることができず、毎年4億円継続しておこなわれている市税投入の実態について、ほとんど知らされないでいるというであり、私はこのことは、大問題であると考えます。。


また、私は、研究が多方面で認められているとすれば、様々なベンチャーファンドや企業からの支援で研究ができるはずと問いましたが、当局はそれを促す仕組みはお話になりましたが、研究資金の寄付や民間からの資金が実際にどれぐらい投入されているか、これも全く明らかにしませんでした。結果としてほとんど民間資金は動いていない故のごまかし答弁ではないですか。

更なる疑問は、今の深刻な雇用問題を解決する方向性として、この研究所を中核とするバイオクラスターは、当局が当初話していた内発的といえる発展、や当局が主張する地域の経済効果につながるものかどうか。という疑問であります。
この地域の既存の産業と結びつき、既存産業の高度化、などに貢献することが、この投資が内発的な発展に寄与するかどうかのバロメーターであると思いますが、これまで地域の既存産業とはほとんど連携がなされておりません。あってもサンプル分析ぐらいであります。そのため、今、多くの地元企業が抱えている雇用の問題を、解決することにはなんら全く役に立たないのではないかと考えます。また山形資金の多くを占める何億という研究機材の購入費は地元企業と何ら関係なく、産業連関が低い分、投入された資金は地域を循環せず、外部に流出しているだけではないでしょうか。

合併後の市政において、慶応大学のブランド力、研究能力にたよりきった、都市戦略だけが、特に予算として突出し続けてきました。果たしてこうした事が市民の誇りや希望に本当になるのか私は甚だ疑問であります。
こうした莫大な市税の投入があたかも義務化されているような最先端産業一点突破型の地域戦略は、地域経営としてリスクが大きすぎると考えます。

今般私は、このことは年間4億円という自治の放棄ではないか。という指摘もいたしました。こうした、毎年固定化された4億円の拠出が、市の財政をより硬直化させ、市民がやるべきチャレンジや市民に対するサービスが、この分減らされ続けてたのではないかと思うからであります。

この雇用の危機により税収減が見込まれているこの後に及んでこうした市税の補助金としての投入を聖域のように優先する今般の予算編成は許されないものだと私は考えます。

今般総務関連では、まず、今後の人口減少時代を踏まえた、行政評価、公会計の改革の導入が、全く為されていない問題を指摘します。

審議会や各種委員会についても、諸々指摘をし続けてきましたが、傍聴者を促すような、努力はおこなわれず、また公募委員も設けずであり、密室の会議が続行していると感じますし、改善はみられません。

新たな公共の担い手であり、コミュニティビジネスに喜与するNPOや市民活動を活性化する支援策は、予算上、全く見られないままであります。

合併に関わる振興策についてでありますけれども町村独特の地域性から生まれてきた施策もあるわけですが、それを調整する中で、いかに合理的な判断が働いているのか、行政評価もなく客観的に住民に示されるものなしにおこなっている現状であり、サービスの低下をきたしているものも見受けられ、調整の手法に問題があると考えます。

ラムサール条約に指定された地域の保全活動についてでありますが、昨年野草や盗掘対策や保全対策として保護条例の提案をしましたが、その後、協議をしたのかも不鮮明で、「ローカルルール」を検討するなどというところに未だ留まっている消極性について、疑問であります。失った自然は戻ってきませんので積極性を求めます。

市民生活についてですが、
住民基本台帳ネットワークについては、導入から相当の負担が生じているわけであるが市内で人口割りで1.4%1900枚の普及に留まっているということであり、費用対効果が問題である事業であると、これは国を含め問題を指摘しておきます。

環境関連でありますが、懸案となっていた環境基本計画の策定が動き出すのは理解できますが、今、日本版グリーンニューディールであるとか、生物多様性の問題であるとか、国も大きく政策が転換している中で、47万円という予算のみで、環境基本計画の準備がどこまでできるのか大きく疑問であります。


地球温暖化対策としては、山形市などで平成14年からおこなっているような太陽光発電装置補助事業などの積極性はみられません。また、まず、役所の建物全体のco2排出量や省エネ効率の現状がどうなのか、見える化をしなければならないのですが、現在担当者が1名なので、その全体を把握するだけの作業でも2年はかかるとのことであり、それでは、エコ改修についても遅々として進まないのであります。また、新規公共施設の暖房に、カーボンニュートラルであるペレットやウッドチップボイラーの導入が進まず、膨大な電気料がかかりco2削減には貢献しない蓄熱暖房などが未だに導入されている状況は、当市職員内部の環境教育が不十分な事が原因であると考えます。

さらに新エネルギーとして注目されるマイクロ水力発電の実験が鶴岡高専や地元企業の連携で今年度下水処理水を使っておこなわれ、従来の3倍もの効率をあげたわけでありますが、こうした取り組みの次どうするか、21年度予算には全く見られず、完全に絶ち切れ状態であります。環境部、企画部の新エネ担当など、担当はいれど機能しない状況であり、人事体勢も含め、改善と積極性を求めるものであります。

● また環境問題の一つとしてこの地域の資源として最も重要と考える水資源について、全く配慮がなされていない事を指摘しておきたいと思います。特に、赤川扇状地の地下水資源については、観測井も減少し、更に昨年指摘しましたが、これまで自主規制をしてきた既存の緊急水源の水源地の近くまで、勝手な判断で砂利採取をおこない、汚染の危険性を自ら高めています。
● 消雪のための井戸掘削、新潟の企業によるミネラルウォーター販売のための取水、工業用水用の取水。以前から指摘してきた持続可能な地下水利用のための水収支の研究などもおこなわれぬまま、いわば無秩序な状況が加速しています。
更に、水道水の水質は、年々悪化し、一昨年の夏、トリハロメタン値が基準値の半分を越える、注意せねばならぬ状況にあります。浄水をつかさどる県企業局の対応もなおざりでありますので、地下水の活用を再度検討するなど、市民の視点にたった、良質の水を供給するための施策が必要であります。
市長が指摘する、いのちの研究というならば、こうした、住民の暮らしや地域の資源に密着した自然資源の研究こそ優先されなければならないと思いますが、こうしたことが全く大事にされておりません。

福祉関連について、老人クラブ活動助成、シルバー人材センター。老人福祉センターへの活動助成金や委託事業、高齢者福祉施設運営費などが全体的に減額となっており、こうした一律的ともみえる減額は問題であると考える。

教育について
当市の学校図書館の事業は全国的にとても優れた施策と認識していますが、学校図書館司書が21年度と22年度の2カ年で現在6人いる正規職員をすべて臨時職員化するという計画の上で、21年度には4人の臨時職員化が決定されているようだが、せっかくの優れた施策を後退させる動きとして問題であり、再検討を求めるものである。

▽ 現在起きている雇用の危機について、緊急窓口を設けたことは評価しますが、この窓口に来る方々については、充実した相談業務をおこない、自殺対策、心のケアの対策まで新しいネットワークをつくりセーフティネットとして充実した体勢の検討をこれは要望します。


▽ 農業関連では、藤島で先行している有機農業関連の動きとして、市の有機栽培認証の区画が全市的に拡大したことのみは認めますが、藤島型、鶴岡エコ型など、独自認証の特別栽培米の普及拡大について、より積極的な努力が必要と感じます。

▽ 基幹産業であるにもかかわらず、現状では担い手の問題などのある農業ですが、現状は持続可能なかたちではない状況が続いている状況であり、より積極的な地域の消費者、姉妹都市、大都市圏の交流都市の消費者との接点をめぐって、消費者と生産者の関係をつくる。施策展開がまだまだ不十分であると考えます。

▽地域資源の掘り起こしとしても大変ご貢献いただいている山形大学在来作物研究会の研究には今年も50万円の委託研究費のみであり、今、膨大な資料整理などを抱えている中でこれでは事務局員一人雇えない状況のままであります。


▽ 観光については、「おくりびと」の米国アカデミー賞受賞をいかに活かすかと言う視点で、酒田の10万部のマップ作成やら充実した対応と5千部の簡易マップやちらしをつくっただけの当市との違いを示す中で、やる気の違いを指摘しました。市内に立地した庄内映画村との関係についても情報を密にし、映画を元にこの地域にいらっしゃる方々に何ができるか、真剣に考えていただきたいと思います。
▽ ミシュラングリーンガイドジャポンでの羽黒山杉並木の3つ星、ラムサール条約指定湿地、新潟DC、羽黒山ご縁年など、この地域の資源について、光があたっているこの時期にこうした評価を活かす取り組みというとについて、現状の施策ではまだまだ不十分と感じられた。
▽ 偶然も重なって、観光政策の充実をはかるには千載一遇のチャンスを迎えているわけでありますので、多くの市民を交えて新しいメニュー開発をするなど新しい枠組みでの議論やチャレンジを求めるものであります
全般的にみて、この地域の自然資源や、人材を活かした、環境政策、観光政策、農業政策など、地域再生の要として充実しなければならない分野の施策がまだまだ不十分であると感じました。

以上、問題点や改善すべき点ををあげました。

私は今後、人口減少社会、そして地球環境の危機、そして経済不安がともなうこれからを踏まえて、真に持続可能な自治体としてやっていけるのか、今のままでは甚だ不安であります。私は、こういう経済危機だからこそ、この地域の自治を高めていかなければならないのだと考えます。この地域の資源を徹底的に見直して、より多くの市民がこのまちづくりに参加をし、資源を活かし、人材を活かし、全員参加でやっていかなければならないと感じます。今般の予算組や行政姿勢は、こうした方向性とは受け止められません。市民の希望をつくる予算編成とはうけとられません。

以上、予算議案に対して反対討論と致します。
by stern888 | 2009-03-24 17:15
<< 加茂水族館  村上館長と下村先... 14年をふりかえり、災害対策を考える >>