雨。朝辻立ちからスタート。
小国川のボードを持って訴える。
山形県の公共事業のあり方がいま、問われている。
7月24日、新庄市で緊急シンポジウムをおこなう。
http://www.ogunigawa.org
長野の岡谷市での土砂くずれ災害。
犠牲者のご冥福をお祈りするとともに、日本でも、山形でも新たな治水策を問う議論の
必要性を主張したい。
以下の事が非常に参考になるのではないだろうか。
■ River Policy Network Vol.1創刊号より 転載
報告 Karl Alexander Zink (元WWF ドイツ) 2004年1月
◇ドイツ
【新治水法:川が自ら破壊的に動く前に、川にもっと余地を与えよ。】
エルベ川に沿っての歴史に残る破壊的な大洪水のほぼ1年後、ドイツ連邦政府の環境大臣トリティン氏は、2003年8月に治水対策改善法案を発表した。「我々は川にさらにもっと多くの余地を与えなければいけない。そうしなければ、川は自らそれを求めるだろう。」彼はこのように述べ、氾濫原に住居、産業施設や不動産の建設を許すような政策を終わらせることが重要であるとも付け加えた。このような政策こそが次回の何十億ユーロにも上る洪水被害を引き起こすことになるからである。この法案は産業界、環境グループなどにも送られ、意見を募るために回覧されている。
一般のマスコミ報道によれば、ドイツ連邦政府環境大臣は気候変動の始まりがドイツにおける洪水発生頻度を高めていると考えている。そして洪水被害は常に過去の人間活動に結びついている。人間は洪水が頻繁に起こる谷間に定住することにより、知ってか知らずか、自らを洪水の危険にさらしてしまったのである。
今や我々は川を運河化したり、河川下流の流れを人工的に変えたりすることが洪水時の流れにとって有害な影響となることを知っている。大規模河川では貯水地を造ることにより氾濫源を縮小したり、河川水流の長さを短くすることで洪水を加速させたり、堰を作ることにより、支流からの洪水レベルを著しく高めている。また、小規模な河川においても、居住区の拡大、集約農業、山間部の森林の荒廃や川の流れを変えてしまうことにより保水能力が損なわれると、洪水被害が発生してくるのである。
近年起こった大規模な洪水により、より高いレベルでの予防的方策が取られるようになった。それらは:
・自然の氾濫原には何も建設しないようにする。または堤防を後退させることにより、そのような氾濫原をとりもどしてやる。
・土壌を固めたり、コンクリートで覆うことを制限する。
・降雨をそれぞれの流域で保持できるようにし、また地表の雨水浸透を高める。
・小さな支流の水を取り戻す。
トリティン氏の提案した法案は、大洪水被害が発生した後に、ドイツ政府は治水政策を改善するために2002年9月15日に「5ポイント計画」を採択しているが、これがベースとなっている。彼は、「我々の目的は洪水危機に対し、より効果的な対策を創り上げることである。この戦略上、法案として提案している治水対策法は最も重要な柱となる。」と述べている。将来的にはいわゆる「100年に一度の洪水レベル」をベースとする洪水指定ゾーンを作るための全国的な基準が定められるであろう。そして、各州は都市計画、地方開発計画において5年間のうちにこれらの指定ゾーンを定めることになっている。二つ目のカテゴリーとなる「洪水被害に遭いやすいゾーン」とは、堤防が決壊した時に洪水の被害を被る地域も含んでいる。トリティン氏は、「近年、多くのダムが決壊していることから、どれだけ堤防や水を防ぐ壁を作ってもそれが絶対的な安全とはならないことがわかる。」とも述べている。
この法律は、原則として洪水ゾーンにおける住居開発と産業施設建設を禁止している。「この点に関しては多くの苦情が巻き起こるであろう。しかし、今はもはや単にうわべだけの政策ではなく、過去数年の洪水被害から学んだことを実施する時なのだ。」あのような大きな洪水被害が起きて一年も経たないうちに多くの市町村が氾濫原における住宅開発計画を進めていることを指摘し、彼は語気を強めた。
農地も洪水対策内での必要性に応じて管理されることになるだろう。この法律は、土壌の浸食や、洪水時の汚染物質の流入の危険性を減らすために、全ての洪水ゾーンにある穀物用の農地における生産を2012年の終わりまでに終えるように求めている。トリティン氏はこの点に関して「誰も農家の利益を損なうことを目的としているわけではない。ただ、洪水ゾーンにおいては牧草地が一番適しているのだ。」と付け加えている。
連邦水法は各州政府に対し、河川毎ベースの治水計画を作ることと、それが国際的に協調性のあるものであることを求めるであろう。そして各州政府は洪水の保水ゾーンを作ること、堤防の移動、氾濫原の保護、再生を義務付けられることであろう。
また、河川や運河の維持管理や開発といった活動は、将来的には洪水の危険性を高めることのないような方法でされなければならなくなるであろう。
「この野心的なコンセプトはその影響を受ける人々にははっきりとした規制となる。しかし、人々が安全に対して間違った概念を持ってはいけない。いまだに洪水ゾーンの中に建物を建てたい者は皆、物事の道理がわかっていないのだ。そのような者が被害に遭ったとしても、社会からの救済を期待できない状況にある。」環境大臣のトリティン氏はこのように強調する。州政府やその他関係者からコメントを求められた時にも、彼は効果的な治水対策を少しでも緩める意志が無いことを示した。
■ドナウ川流域での維持可能な治水対策のための活動プログラム
ドイツからハンガリー、ブルガリアを超えウクライナにつながる(長さ80万キロ、住民の数8200万人)総数13の州が協調しながら水管理をする、「ドナウ川保護国際委員会(ICPDR)」は、2003年の春にドナウ川流域における持続可能な治水のためのアクションプログラムの作成を開始した。このプログラムは、自然の保水能力を持つ地区の再生に焦点をあて、統合された、流域全体での洪水危機の削減を目指すものであり、2004年の夏を作成の期限としている。
河川を巡っても、日本とは違い、ヨーロッパにはとても複雑な政治的、経済的問題があるにも関わらず、以前の間違った考え方による河川管理、治水政策、慣行のために20年にも渡って繰り返し発生した大きな被害は、厳しい教訓として絶対的な政治的対応を引き出すこととなった。何年にも渡る環境NGOによるロビー活動は、科学的根拠による裏付けと「開発された川」の周辺への経済的被害と共に、この改革プロセスにはっきりとしたインパクトをもたらした。2004年は、全てのEU加盟国とその周辺国で、生態系にかなった河川管理、治水政策が完全に支持される年になるであろう。
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■ 豪雨対策 あふれる川を前提に ■
2006年7月17日 朝日新聞 社説
300年に1度と言われる豪雨に見舞われた新潟水害から先週で2年たった。
信濃川の支流の刈谷田(かりやた)川と五十嵐(いからし)川の堤防が決壊し
た。1万棟を超える家屋が水につかり、12人が水死した。水の勢いはすさまじ
く、創建400年の寺まで押し流した。
豪雨の日には、新潟県内の5カ所のアメダス観測所で、史上最大の1日雨量を
記録していた。
最近、日本各地で雨の降り方が激しくなり、今年も局地的に大雨が降っている
。地球の温暖化が影響しているのだろう。この30年間で1日に200ミリ以上
の大雨が降った日数は、20世紀初めの30年間に比べ、1・5倍に増えている
。
刈谷田川では上流に洪水調節のダムができ、堤防も完成していた。100年に
1度の洪水に耐えられるはずだった。五十嵐川でも2基のダムが築かれ、洪水対
策が進みつつあった。だが、雨の量が想定を超えた。
このことをどう考えればいいのか。
戦後、日本の治水は「河道に水を封じ込め、流域を平等に守る」という方針で
貫かれてきた。上流にダムを造り、堤防を連ねて、1滴たりとも川の外に水を出
さない。そんな考え方だ。
水害の後、新潟県はそうした方法を改めた。
刈谷田川では、上流の堤防の一部を低くし、水田約100ヘクタールを遊水池
にする計画を進めている。大量の雨が降った時には、あえて水をあふれさせ、人
の住んでいないところに誘導しようというのだ。
五十嵐川では、水につかりそうな400戸の移転が始まった。こちらは早々と
逃げる道を選んだ。
いずれも、洪水をすべて川に封じ込める方法が現実的ではない、と考えた結果
だ。この方針転換を高く評価したい。
実は、ドイツもそんな封じ込め策に見切りをつけた。温暖化が原因とみられる
大洪水が頻発するからだ。
02年夏、500年に1度と言われる洪水が襲い、1兆円を超える被害が出た
。これを受けて、昨春、川はあふれるという前提に立つ洪水予防法を施行した。
100年に1度の洪水が起きると予想される地域を指定し、建物の新築を厳しく
制限するというのが主な内容だ。
国土交通省にも動きがある。豪雨対策を考えていた審議会が昨春、流域を平等
に守る考えを改める提言を出した。途切れなく堤防をつくるのではなく、住宅や
農地など洪水から守るべき対象を絞り込もうというのだ。
場所によっては、反発があるかもしれない。だが、いくらダムを築いても、ど
れだけ堤防を強固にしても、それで人の命や財産を完全に守れるかどうか。はな
はだ疑わしい。
洪水への有効な手立てとは何か。豪雨の頻発や財政事情を考えると、審議会の
提言は現実的な判断と言える。
川はあふれるもの。その前提に立ち、行政も住民も対策を考えていきたい。
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午後、水道経営審議会傍聴。予定。