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草島進一の「持続可能な鶴岡」日記

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2月18日山形県へ抗議と要請 

                                2014年2月18日
抗議と要請
吉村美栄子 山形県知事 殿
最上小国川の清流を守る会
共同代表 高桑順一 川辺孝幸 草島進一
水源開発問題全国連絡会
共同代表 嶋津暉之 遠藤保男

 2月10日、県と漁業権や治水対策の交渉にあたっていた中心である沼沢勝善 小国川漁協組合長が自死されました。小国川本来の清流を活かした漁業振興を実践し、信念をもってダムに依らない治水を訴え続けてきた、山形県の内水面漁業の振興の柱ともいえる大切な方を失った事は遺憾の極みであります。
 昨年末山形県がおこなった、漁業権の更新時に許認可権を楯にダム治水の協議を強要するといった手法は、漁業法に抵触する 前代未聞の手法であります。実際に、漁業権が剥奪されるかもしれないという恐怖、不安が、更新前後にわたり組合長にとって最も大きな精神的負担になっていたことを、多くの方が感じていました。また、1月28日におこなわれた治水対策の第一回目の協議についても、ダムに反対する漁協をダム治水論者が取り囲む形で、非公開、密室でおこなわれる会議のために、更なる精神的な苦痛を強いていたのではないかと私達は考えます。
 県に対して以下、抗議し、要請するものです。要請についての見解を求めます。

 昨年末の漁業権更新について、県はダムを前提としたものではないと言及するものの、全体像を踏まえれば、明らかにダムを承認させる協議の場に漁協をつかせるために、漁業権更新時をとらえ、認可権を脅しに使い協議を迫った実態があります。吉村県知事は、12月24日の記者会見において、ダム建設と漁業権の認可との関連性について「ただ、まったく繋がっていないというのはあたらないと思っています」と関連性を認めるかのような発言をしています。
漁業法は、本来自由に任されている漁業に、漁業調整(漁場の総合利用漁業法による漁業生産力の発展)を目的として公的に介入している法律です。したがって漁業調整と全く相反するダム建設を免許条件に入れられるはずはありません。また、漁業調整は、漁業及び漁業従事者による漁業調整機構の運用によって行わなければならないのに、県が直接漁協に圧力をかけたことは、漁業法34条に照らして違法です。今般の一連について、その全体像を鑑みれば、ダム反対決議を行っている小国川漁協に対して、漁業権の許認可を楯にダム建設の容認を迫ったものとして、漁業法の本旨を逸脱した公権力の乱用と考えるものです。
そもそも、本来は、法的に行う事ができない更新時の「漁業権の剥奪」をあたかも行えるかのように提示して漁協に迫ったのではないですか。
そのことが沼沢組合長や漁協関係者に対して、大きな動揺を与え死に追い込んだ、最大の要因になっていると考えます。

漁協関係者より県は「公益上の配慮」の担保を示せと迫っていたと伺っています。漁協は不安と恐れの中で回答書に協議には応じるがダムによらない治水を求める姿勢は変わらない旨の回答書を提出し、県は受理しています。故沼沢組合長や漁協は、提出した回答書にあるように、ダムに依らない治水を求め続けています。最上小国川の治水対策については、河川整備計画策定時には、ダムに依らない治水論の河川工学者を交えず、小委員会は10名中沼沢組合長1名のみが明確にダムに依らない治水の論者だったのに対し、9名ダム治水論者か中立的な意見を述べる人でした。その後の民主党政権下での検証の際には、県が開催した検証の協議には河川工学者がおらず、これまでの「ダムによらない治水」対策は、県職員が「できない理由」を作成し、説明するだけにとどまっています。漁協より、1月の協議に向けての準備会合の際、大熊孝 新潟大教授などの協議への参加を求めていたことを伺っています。それに舟形町長も賛同の意思表示があったとも伺っています。しかし、県はそれを却下しています。ダムに反対する少数の漁協関係者3名に対して、県土木部長、県農林水産部長、流域の首長、赤倉地区町内会長などと、ダム推進論者の多勢に、小国川漁協が数名であたかもダム容認を迫り納得させるような協議の構成自体、不当なものであると考えます。それを非公開、密室で行う会議によって、漁協の孤立を高めていったのではないですか。
 改正河川法後の「関係住民」とは 関係河川を利用する人全てが対象とされています。今後の協議については、公開で行うこと。又、故沼沢組合長をはじめ小国川漁協のが求め続けている「ダムに依らない治水」の本質的な議論ができるよう、漁協が推薦するダムに依らない治水論者等を、推進論者と同等同質数参加させ、小国川流域の河川整備計画を見直すことも視野にいれての正式に検討する場を設けることこそ、組合長が求めた「ダムに依らない治水対策」の議といえます。河川法上に位置付けた治水対策の正式協議を要請します。

 山形県議会が2月20日から始まります。県は2014年予算に河道内を含むバイパス工事とダム本体工事の債務負担行為を計上する予定になっています。公共事業のあり方として、沼沢組合長の自死と県行政の対応姿勢との検証を行う事が先であります。                                                                                                                                                                                                                                                        県民の生命と財産を守るべきはずの公共事業が命を奪った可能性について内部的、外部的な検証を行い、報告書を提出してください。治水対策の協議中に、更に議会承認を理由に更に圧力がかかる事も予想される拙速な予算計上をただちに止めてください。

環境面について
「穴あきダムが環境にやさしい」「影響が少ない」は、竹門康弘京都大防災研准教授ら、実際に流水型ダムを調査している先生方から「環境に甚大な影響を及ぼす可能性」が指摘されています。又、これまで流水型ダムがつくられた河川には上流に巨大な貯留型ダムがあり、河川の生物多様性のポテンシャルが小国川とは全く異なります。小国川ほど全国有数の天然河川、清流環境に流水型ダムがつくられたケースはなく、河川環境が破壊されるリスクは未知数です。最新の科学的な知見を無視しないでください。「流水型ダムだから環境に影響が少なく、小国川の漁業振興を妨げない」等とする安易な思い込みや見解を撤回してください。

穴あきダム(流水型ダム)について
 第一に、穴あきダムは、魚が自由に行き来する単純な構造ではありません。洪水時に勢いよく水が流れるのを食い止める構造物(減勢工)がダムの下流直下にあり、魚が上って行くには、減勢工などを通って穴に向かわなければならず、これらが障害になる可能性があります。
 第二に、既設の穴あきダム(島根県の益田川ダム)を見ると、土砂が予想以上にダムに堆積しています。特に粒度の大きい砂礫はダム上流部に堆積しやすいため、下流への砂の供給が減ると、ダム下流の河床は泥質化が長期的に進み、砂の中に産卵する魚の生態に影響が出る恐れがあります。小国川漁業が最上小国川ダムに対して断固反対の姿勢を堅持しているのは、そのようにアユ漁業にとって看過できない問題が引き起こされることが予想されるからです。
また、穴あきダムは肝心の大洪水時に役立たない恐れがあります。特に洪水が間隔を置かずに続いて来るケースは危険です。通常のダムは、職員がゲートを操作し、最初の洪水でたまった水を必死に放流して次の洪水に備えますが、穴あきダムでは、小さな穴から自然に任せて少しずつしか放流できないため、最初の洪水を処理しきれないうちに次の洪水が押し寄せ、水がダムから一気にあふれて被害が拡大することも予想されます。
さらに、穴あきダムで大雨で山腹が崩壊すれば、流木や岩が絡み合い、穴をふさいでしまう恐れもあります。環境の面でも治水対策の面でも問題が残されているのが穴あきダムなのです。
県は、穴あきダムのメリットだけを強調して流域に広報するなどをおこなってきました。穴あきダムに偏重した考え方を撤回してください。

真の流域振興について
琵琶湖産の鮎種苗を全国で一早く断り、小国川産の鮎から種苗育成したものを放流する。この手法をはじめ、本来的な河川の力を活かした漁業振興策を沼沢組合長を筆頭に小国川漁協は実践をしてきました。「ダムのない小国川」は3万人訪れる釣り人にとって「ブランド」であり、漁業振興、観光振興の柱としてこれまで多くの住民がその恩恵を得てきました。この本質的な漁業振興・観光振興には代替案がありません。
一方、治水については、ダム案、ダムに依らない案など、多くの代替が考慮できます。特に河道改修案は、近年の洪水の原因となっている内水水害の根本解決につながるとともに、中心の旅館が倒産し、全体的に老朽化している赤倉温泉街を再生させる事業を行う絶好の機会ととらえることができます。 
 故沼沢組合長は、小国川を生活の中心に置き、全国的に評価される、ダムのない森里海の連環こそが生命を育むゆりかごであることを踏まえ、本質的な漁業振興、観光振興を実践してきた中心人物であります。そして河道改修とともに赤倉温泉が再生の工事を受け、真に栄え続ける事を念じておられました。
 私達はダム開発によって漁業振興が深刻なダメージを受けた川を数多く知っています。県内の河川もその多くが本来の美しさ、豊かさを失なっていきました。全国的にも貴重な、四万十川に負けない小国川の清流こそ、今後の観光振興、流域振興の柱と考えます。又、鮎だけでなく特に準絶滅危惧種になった県魚サクラマスにとって小国川は貴重な産卵場所であります。
 人口減少が激しい現状と未来を踏まえ、如何に持続可能な赤倉温泉をはじめとする流域づくりができるか。本来的な観光振興、地域振興とは何か。ダム偏重の議論で本質を見誤っているのではないですか。
県行政への猛省を促し、真の治水、真の漁業振興を徹底議論する公開討論会、正式協議の場を求めるものです。


● 要求項目
1)小国川漁協からの推薦者を半数含めて第3者機関として調査委員会を設置し、山形県と小国川漁協との折衝の経過に問題がなかったのか、実態調査と報告を求めます。
2)その実態調査が修了するまでは、協議会の凍結を求めます
3)今後の県と漁協との協議については、現行の協議手法は、真の治水を議論する場になっていません。故沼沢組合長や小国川漁協が求め続ける「ダムに依らない治水」の本質的な議論ができるよう、ダムに依らない治水論者等を、推進論者と同等同質数参加させ、小国川流域の河川整備計画を見直すことも視野にいれた、河川法上の正式な治水対策を徹底議論する県民討論集会を要請します。
4)ダム事業の26年度の予算の凍結を求めます。

以上、本文に記載している要請も含め、可及的速やかなる回答と予算への行動をお願いいたします
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by stern888 | 2014-02-18 21:13
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