この河川構造物をどうとらえるか?
これが最上小国川ダム訴訟の 裁判の先ず第一の争点です。
皆さん何に見えますか?昨日の現地視察の際、ポールを川底に伸ばしてみると2mのポールがほぼ底につきました。落差2メートル。誰が見ても「堰」と思いますがいかがでしょうか。
これを県は「床止め」と言っています。
実はこれまでのやりとりの中で、当初は県はこの堰をつくった事を認めませんでした。
09年からの再検証の説明会の際にはじめて県はこの堰を県がつくったことを認めたのでした。(
私たちはこの堰によってそこから上流部に土砂が溜まる原因をつくりだし、結果、この堰から上の河床が1mから1.5m上昇していると主張しています。
しかし県はこの構造物を「床止め」と主張しています。本来の川底が現状のものだと主張しているのです。
以下2点の写真を参照していただくとよくわかります。下が今の写真
昭和5年の写真が以下です。
この写真を見てください。現在コンクリート堰になっているところが木組の堰になっています。
農業用水の取水などにつかうように「堰あげ」がおこなわれている様子がわかります。温泉の湯量を保つためにこの当時から木組みで堰あげをして、水位をあげていたことが写真をみてもわかりますし、温泉街の数名から「昔は町民みんなで手作りで堰をつくったものだ」という証言をえています。
木組の堰は大洪水が発生すると壊れてそれと同時にそれまで溜まっていた土砂も下に流します。それで木組みの時は、土砂は溜まらないで済んでいた。しかしいちいち木組みで堰を作る必要があった。
そこで、住民の要望を聞き入れたのか、これを県がコンクリートでつくってしまった。そのために土砂がそれ以降ずっと溜まるようになってしまった。結果としてここに約2メートルの落差ができてしまった。つまりそれを原因にこの堰の上の河床が約1〜2メートル上昇してしまったということです。
この堰をとりはらい、堆積土砂を取り除き、本来の河床を取り戻すことで相当の流下能力をあげることができる。研究者は、基本高水340トンについてもほぼ可能ではないかと推論しています。
県が自分でつくった堰によって水害を引き起こしやすくしていることを認めたくないという姿勢のためか、この堰を床止めと主張し続けています。しかし、これまで私達が依頼してここを訪れた河川工学者全員の方が「明らかに堰」であるということを認めておられます。
この1点がまず大きな争点です。
この論点については、以下の河川縦断図(県作成)でも検証することができます。
堰部分から土砂が堆積し、河床があがっていることがこの図でもわかります。
県が「本来の河床」と主張できる論拠がどこにあるのか。未だに不明です。
皆様からのご意見をお待ちしております。
文責 草島進一