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草島進一の「持続可能な鶴岡」日記

kusajima.exblog.jp

10.20鶴岡の宝が失われた日 。鶴岡水道 水源切り替えから九年。住民投票運動から十年。

10月20日。2001年の10月20日、この日は、鶴岡水道が、地下水100%の水道から、ダム水に切り替えられた日。2000年の10月には、私たちは、多くの市民の皆さんと一緒に住民投票の活動で、その切り替えの是非を問おうとしていました。今、改めてこの月山ダムと広域水道事業について振り返り、今後を考えていかねばならないと考えます。
   蛇口の向こう側の社会的構造の問題点を改めて問う必要があると思います。


2001年の切り替え直後から、僕は、1週間に一回のペースでメルマガを発行し、水道事情や市政の問題について市民の皆さんに訴え続けていました。当時を振り返り、この9年間を再考したいと思います。
なお、この問題について取り上げられた特集もご覧下さい。

 http://www.youtube.com/watch?v=q9tQB2Umias

2001年10月20日、草島メルマガより
「本日、水道水源切り替えに際して」

さきほど、午前零時、鶴岡の配水池に月山ダムからの水が流れ込んできているようです。10月19日の午前10時30分。市長はじめ、周辺市町村の町長などが集まって「通水式」をおこなっていました。明日の朝刊には、この模様が新聞紙上をにぎわすことでしょう。私は、この最後の日を、朝7時半より八文字屋前で街頭だち。そして「くじら号」で街宣。昼12時30分には役所前でハンドマイク抗議。そして一度三川町でおこなわれた「合併問題」のセミナーにいきそして再度午後7時半まで街宣をしました。マイクをにぎって訴えていると、道すがら「反対反対!」といって手をあげてくださる八百屋のご主人や、何人かの方に「がんばれよ」とか声をかけていただきました。そうしたお顔を拝見するたびに、この切り替えに至ってしまう不甲斐なさ、力のいたなさに無念を感じずにはいられませんでした。「通信」にも書きましたが、この水の切り替えを思うとき、私は、決して鶴岡10万市民がだれも望んでいないことであると信じています。そしてすぐ未来に、料金の面でも質の面でも悪影響を及ぼしてくることが誰でもわかっていると感じています。
 
今日、三川町の合併問題のセミナーで配布された資料で、まず、人口減少の時代が強調されていました。今後10年、20年の見通しでは確実に人口が減っていく。これは、この水道問題で、99年6月議会で私もグラフを提示しながら指摘をしています。これまでは右肩上がりでずっと進んでいた。でも今、厚生労働省人口問題研究所で、2007年からは減少に転じ、なんと100年間で半分に減るだろうというような推計さえもでています。ということで、市町村合併もそうした減少時代を見越した政策であるわけですが、果たして水道事業はどうでしょう。まさに右肩上がりの思考のもとで組み立てられた「水需要予測」を踏襲したものです。今、ただでもここ5年間、鶴岡の水需要が減り続けている。これは節水が影響しています。今鶴岡の人口は、停滞を続けています。当分こんな調子かもしれません。でも、これからぐんぐん伸びるということは先ず予期されない。ということは、今契約をしている、過大すぎる7万トンもの水が使えない。結局今回の契約は、誰も使えないような想定の水を「安定給水」の名のもとに契約してしまっているので、必ずどこかで大幅な見直しが迫られることになるでしょう。
 それから、なぜ、1万トンしか地下水が使えないような契約になってしまったかは甚だ今も疑問が残るところです。昭和55年に全国的にも先駆的な地下水調査がおこなわれています。その時の主任教授でいらっしゃる柴崎先生は、「水源として5万2千700トンは十分にくみつづけることができる。調査した一部だけでも25万トンもの持続的に補給できる量(持続的補給量)がある」としています。なんでそれが、「枯渇傾向」とか「地下水不足」とかになってしまうのか。ということです。いくらこの点を指摘しても、何一つ根拠になるデータ、資料をみせずに、そして、調査ひとつせず、勝手に推測をして「足りない足りない」と主張するばかりでした。
 ま、このような「おかしな点」は多々ある事業です。今、ホームページは整理不足ですが、こうした点についてもんちょっときちんと整理をしてしっかりと明らかにしていきたいと思います。
 
 さて、今日の零時、ダム水が通水されました。ただ、今、鶴岡の配水池(金峰山の麓のタンク)には、2万8千トンの水がたまっていますので、市民のみなさんが水を使う朝から半日ぐらいで、ダム水へ入れ替わるのだと思います。だから朝のうちは、まだ今までの地下水100%に近い水を飲むことができるかと思います。影響がでてくるのは昼ぐらいからだと推定しています。さて、どんな影響がでてくるか。パドルでもお願いをしましたが、ぜひ、皆さんの率直な声をお寄せください。
実は、今朝、すでに「朝日村は今日から水がかわっているみたい。顔を洗った感じが全然違う。いつもはしっとり感があるのに、何か都会の水で洗っている感じ。」というような声が寄せられています。朝日村は浄水場がすぐで、割とダイレクトに供給される傾向と思うので、もう切り替えが進んでいるのかもしれません。朝日村も清浄な湧水を使っていたにもかかわらず、2年前におこった「クリプトスポリジウム」騒動で、大部分が広域水道に参加することになっています。

 今日、昼ご飯を大山の麦きりの店「寝覚めや」さんで食べました。いつも元気のいいお母さんは、何か曇りがちの顔で今日の切り替えをすごく心配なさっていました。特に「たれ」などの調合で水が命と聞いています。大丈夫なのでしょうか。

 しかし、なぜ、市民の多くが望んでいないことをこんな風に断行されないといけないのか。市議がいくらわーわー言っても全然耳を傾けようとしなかった、そして全国放映になっても、新聞で全国版でいくら問題が指摘されても全く動じなかったこの鶴岡市の政治姿勢は、今回の切り替えの断行でますます全国の市民の不信を買うことになるでしょう。ま、このダム事業の構造が、政官財癒着、巨大利権構造の権化であり、利権や保身等々がたくさん絡んでいる事業といわれていますからメンツにかけて云々というのはよくわかります。でもそれをこの時代の常識にして、市民の宝を奪ってしまってはいけない。もう賢明なる市民の皆さんはこの政治のねじれ現象にきづきはじめている。と思います。

今日、合併を考えるセミナーの講演会の中で収穫だったのは2つのキーワードをいただいたことです。ひとつは、「今までは行あっても政治がない。それが中央集権の時代の地方自治体の実態だった。考えなくても運営できた。でも21世紀地方分権の時代はそうはいかない」ということ。そして「政治家は常に未来を見据えて動く」ということ。合併議論はさておき、目先の利益をこれ以上追い求めてはいけない。未来の益を考えないといけない。そう考える時、私は、もうダムやどんどん道路をつくる時代ではないと強く思うわけです。費用対効果。これを今まではすごく短いスパンでしか考えなかった。
    ダムも目先の儲けや仕事として大層補助金がでるからなどといってすぐ飛びついていた。これが月山ダムであり長井ダムだったかもしれない。でも今、アメリカでダムを468も壊して川を再生させている。これは何か。長いスパンで考えたらダムは土砂で埋まることがわかった。2000億円もかけてもいつかは完全にムダになる。そして、生態系を維持したほうが、水系全体にとって、利益が大きいことがわかった。水産の面、観光レジャーの面、こうした本来の費用対効果の考え方がまさにアメリカでおこって、ダムはムダが常識になったのです。94年からアメリカはダム事業から撤退しています。

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さて、この時から9年たって、今に至りますが、この間、やはり確実に水質は、発ガン性物質、トリハロメタン値の増加( 2008年0.06mg/l。その後、草島が県議会に対して「岐阜県では0.05以下にするように県が努力している、山形県もトリハロメタン値を下げる努力をすべきではないか」という主旨の請願を提出、その後若干改善。)するなど、水質は悪化し、水道料金は約2倍と高騰しています。この切り替えの際には、地下水について一万トン確保してブレンドすると議会で答弁していたのですが、合併後周辺町村部の「水需要予測と現実のズレ」から更に水余りの傾向となり合併後は地下水のブレンドはゼロ。この合併してからの5年感は特に100%、ダムを水源とする水道になっています。また、実際の水道の使用量は、ずっと減少し続けています。水道ビジョンをみても、この減少の方向は続くとされています。
  この構造的な問題は、これこそ政治で解決しなければならない問題だと改めて感じています。

今、生物多様性の国際会議が名古屋で開催されています。私は、特に水辺の生態系、生物多様性が特にこの数十年で破壊されてきました。「沈黙の川」(パトリックマッカリー著)という著書がすでに十年以上前にだされていますが、今、年間四万種の生物種が失われている現状を踏まえて、これ以上の生物多様性の消滅に歯止めをかけて、再生の時代へ舵をきらねばならないというのが、今般の国際会議の趣旨であると考えます。
  また、水の浄化も、わざわざ汚い河川水を人の手で大量の薬品を使って処理をするコスト高の急速濾過方式の浄水場や膜処理などよりも、むしろ、生態系サービスを使った生物処理といえる地下水、緩速濾過型の浄水場を改めて見直していかねばならないと考えます。今、少しづつ、今後のコストも考えて、そうした浄水場の見直しをする自治体がでてきています。

持続不能に陥っている社会を、持続可能な社会へ変える。
それを、私たち生命の源の「水」から。

僕らの世代の仕事として、いや、これはこの水問題を問いかけた僕の仕事として、それを何とか成し遂げていきたいと思うのです。

今年にはいって、念願の一つとして福島大学の地下水を研究するゼミとともに、地下水の水位、水質の調査をはじめました。今一度、鶴岡の地下水のポテンシャルを測定してみたいと考えています。
現在、調査ポイントを増やしたいと考えており、井戸をお持ちの方で、調査に協力してくださる方、企業の方を募集しております。井戸の口からセンサーをつるして、水位などのデータを測定するものです。ご協力お願いします。
  また、皆様から水道事業についての声を改めて求めています。どうぞ率直なご意見、お待ちしております。
by stern888 | 2010-10-20 03:26
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