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草島進一の「持続可能な鶴岡」日記

kusajima.exblog.jp

グリーンウォッシュな斎藤山形県知事

いいかげんにしてほしいな。

山形県知事選挙の公開討論会を聞いて、感想の第一である。
「子供達の未来のために。」とか「子供未来宣言」。
「いのちを育む教育の要は自然。山形ならではの自然の中での教育をすすめたい」
とか。
いっておきながら、穴あきダム推進の斎藤山形県知事。

「夢未来宣言」というなら、これまでの数十年のダム事業や河川工事で、最上川流域の河川環境が、生物多様性がどれだけダメージを受けているかを先ず知るべきだ。
そして、今、最上川流域で子供達が泳げる川がどれだけあるかを知るべきだ。

今、私の知る限り、最上川支流で子供達が喜んで泳げる清流(大人も一緒だけれど)は「最上小国川」しかない。そして本来の生命力を感じる川は最上小国川しかない。

小国川では、ほぼ鮎だけで生計をたてている人がいる。全国見渡してもそんな川は今、数少ないのだ。最上川支流で唯一といっていいだろう。

その絶妙なバランスを保ち、清流を維持してきた川こそ、子供達の生命力の源なのだと思う。
全国で絶命を強いられてきた川の中で、その一本の清流は今、光輝いて見える。だから、全国からその川をめがけて、鮎釣り客は来る。そして子供たちに川で泳いだ原体験をさせたい大人たちが来る。かじかしめのおもしろさを体験させたい家族連れがやってくる。仙台のカヤッカー
たちも、東北でも数少ない清流と遊ぶためにやってくる。生きている川に心洗われる体験をする。そして、ああ、山形にまだこんな川が残っていて良かったなあ、ああ、山形まで遠かったけれど、来てみて良かったなあと思うのだ。

夢未来宣言、子供達に何を手渡すか。100年後にも誇れる山形 といいながら、従来のしがらみ政治で自分自身で良くも考えず「ダム」に固執する山形県知事の姿勢は、現在、「球磨川の清流こそ、地域の誇るべき宝」と宣言をして、これも小国川ダムと同じく「穴あきダム」である川辺川ダムに白紙撤回をした熊本、樺島知事。また、4府県共同で大戸川ダムについて反対表明をした滋賀県の嘉田知事をはじめとする、京都府、大阪府、三重県の4知事の姿勢とは、完全に真逆の姿勢である。

そして、もちろん、脱ダム宣言をして、公共事業のしがらみを絶ち、財政再建に努めた田中康夫元長野県知事の姿勢とは全くちがう。

記者会見の発言をみていても、斎藤山形県知事の姿勢というのは、国土交通省(それも守旧派)のいいなりでしかない。

僕はこれまでの申し入れの際に何度も以下の事を問うてきた。それに未だに何の回答もない。
以下 、11月17日に申し入れた文書から、、。

 滋賀県知事は「今は国が決めた計画に従うだけの時代ではない。今回の合意は地方自治の試金石になる」と強調した。こうした表明の根本には、淀川水系流域委員会の方針があり、11月9日に僕らが企画した緊急シンポジウムで発言された今本博健 元京大防災研所長はその治水論の中心人物である。
  今本氏は、「いままでのダム計画にたよる治水のあり方は行き詰まっている。これからの「治水の使命は、いかなる大洪水に対しても住民の生命と財産を守ること」であると説いている。河川対応と流域対応を併用して洪水を流域全体で受け止める必要がある。また、これまでダムができたことにより、自然環境が破壊されなかった河川はない。環境は、基盤であり、治水のためといえども環境に重大な影響を与えてはならない。として、「ダムに依らない治水」を訴え、最上小国川についても、穴あきダムができたら、環境への影響は避けられず、せっかくの最上小国川の清流の魅力が死んでしまう。安全上でも、財政的にも、持続可能な流域のためにも、効果が限定的なダムをつくる時代ではない。流域委員会をはじめ、ダムに依らない治水の検討が全く足りなすぎる。と強く主張されている。
 したがって、知事が主張する「治水策を十分に検討してきた」もまた、県民に対する情報操作でしかないことは明らかである。
  先日、4府県の動きなどを受け、金子国土交通大臣が14日、国交省の既存のダム計画は「見直す時期だと思っている」との表明もあった。

 今、ダム建設や治水をめぐる状況が、大きく転換している。そうした状況下で、従来の「まずダム計画ありき」の旧来の国土交通省の姿勢に固執してダム建設を進めようとする山形県の姿勢は、その新たな潮流から逸脱したものである。県単位で河川の自治をとりもどし、住民は先進の知見から新しい治水の常識を学びつつあるのに、知事は自治を放棄していると考える。
 県知事は会見の席で「他の県とは事情が違う」と発言しているがその根拠を示せ。

そして

県は「生命と財産」を守るためにダムが必要というが、熊本県で白紙撤回された川辺川ダムも小国川ダム同様の穴あきダムであり、「穴あきダムであれば環境影響がない」としているのは山形県独自の曲解である。
 このダム建設の工事中や完成後に生じる河川の環境破壊、による生物多様性の損失、又、流域の経済的な損失、自然資本の損失をどのように考えているか。また、持続可能なまちづくりの観点で、ダムによる清流環境の破壊による、交流人口の消失、地域経済の衰退が懸念される。私たちは、この質問を、幾度も県知事、土木部長に問いかけてきたが未だに明快な回答がない。明確に、根拠を示し、答えよ。

と問うているものの、1ヶ月間何度か催促をしたが、回答すらまだでていないのが現状である。

また、「日本一環境にやさしい穴あきダム」などと、推進派のちらしに書いてあった。
こんな表記は山形県だけだと昨年の今頃、申し入れをし、「その論拠は?」と正すと
「そうあるように努力することの表現」とかと県から答えが返ってきて、笑った。


更に、地元経済への影響ということについても、ダムを選択するとスーパーゼネコンが東京からやってきて8割方の仕事をもっていくと良く聞いている。地元業者はほとんど仕事ができず、それを考えるならば、とことん河川改修にこだわる「ダムに依らない治水」を選択したほうがずっと地元業者の仕事になるのである。

この構図は長野県などで明らかになっていた。結局は誰のための事業なのかというと、「政・官・財」癒着の構造を守り「ひとにぎりの人たちの利権を守る」ための事業なのだ。

ここに述べた現況を少し考えていても、斎藤知事の「子供未来宣言」とか、こどもたちにかけがえのない山形の自然を。とか、最上川を世界遺産へ などといっていることの、欺瞞がおわかりなるのではないかと考えている。

環境問題を考えたとき、ましてや世界遺産とかというグローバルな視点で考えたとき、今やこのダム問題は避けては通れないのだ。

実際、先般の世界遺産シンポジウムでも指摘したが、ダム推進国であった米国では1994年に「ダムの時代は終わった」とダニエルビヤード 開墾局総裁が宣言をし、実際に新規ダム着工を辞め、更に、森、川、海の循環する生物多様性を取り戻すために、また、流域の文化をとりもどすためにダム撤去をしている。すでに500近いダムが撤去されている。
ヨーロッパも「リビングリバーの時代」として、川の自然再生が進んでいる。
水力発電を推し進めてきたスウェーデンも、環境法典で今後河川環境を破壊するダムによる水力発電は規制の方向にある。

そうした世界の潮流がようやく日本国内にも伝わってきたように思えるのだが、山形県内は、何か未だ情報操作がおこなわれ、狂信的なダム推進論者が「ダムこそ命」といっているようだ。

いまどき、「バブルな仕事になります。旅館にはたくさんの技官さんたちが泊まります。」などと、吹聴されているのだろうか。「生命と財産を守る」にはダムしかない。などと吹聴されているのだろうか。
 
 持続可能な社会づくりとは全く異なる、妙な臭いがしてくる。

それをいいことにこの斎藤知事も、口先では「環境」とか「未来の子供達のために」という。


しかし、本当にそう思うのなら、真に「生命と財産を守るために」全国でとりくまれはじめた、ダムに依らない治水を支持する、熊本県知事や嘉田知事や、田中康夫氏の姿勢こそ、本物だと思うのだ。

えせエコ論者の事を、グリーンウォッシュという。

斎藤山形県知事の姿勢こそ、まさに、グリーンウォッシュだといっておきたい。
にわかにマイ箸を討論会で見せたって、全く筋がとおっていないのだ。

















環境のアクションとして「マイ箸」を使ってます。  とか。
by stern888 | 2008-12-24 13:27
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